教師の魅力とは


エピソード1


私は東京都の教員になって1年目からクラス担任を任されました。一生懸命に取り組むことはもちろん、部活動にも精を出し、振り返ってもこれほどまでに全力で取り組んだことはなかったと思えるほど充実していました。2年目になり、ある日の昼休み、校庭で生徒たちとひと時の休息を過ごしていた時です。ある女子生徒が私のところに近づいてきてこう言いました。「先生!変わったね。1年生の時は怒ってばかりだったじゃん。2年生になって笑顔も多くなったし、いいじゃん!」と。
皆さんならこの言葉どう受け止めますか。
「何を生意気な!」とお思いですか?私は後ろからガツンと殴られた思いでした。
「そんな風に見えていたのか」と。心に余裕がなかったのでしょうか。
生徒に良かれと思って全力で生徒指導をしていましたし、それが先生だと疑いもしませんでした。その女子生徒は私が1年生の時に担任し、2年生でも持ち上がりで担任をすることになった生徒だったです。そこから私は変わりました。先生とは何なのか、深く考えるようになりました。
その女子生徒に心から感謝しているのです。

エピソード2

その後は中学校教師を十数年続けましたが、縁あって教育委員会指導主事という立場になり、さらに管下の学校を指揮する立場へとなったある日のことです。それは2011年3月11日のことでした。ご存じの通り東日本大震災のあった日です。その日は朝から予算特別委員会という議会が開かれていました。14時46分、大きな揺れを感じました。船に乗り大きな波に揺さぶられているような感覚、そんな揺れでした。その瞬間に議長は「会議を中断します」と宣言されました。1分以上揺れが続いたと思いますが、しばらくすると揺れは収まりました。
私はこの間に管下の学校へ連絡し児童・生徒の状況を確認しました。すると小中学校とも大半の学校自体に大きな問題はなかったのですが、ちょうどその日は2校の中学校が東京ディズニーランドに卒業遠足へ行っていたのです。日帰りの予定でしたが交通機関は乱れ、道路も寸断され、液状化現象でディズニーランドの中も安全な状態ではありませんでした。2校の校長先生と電話でやり取りをします。学校としてどうすればいいか、教育委員会の判断はどうか、一昼夜連絡を取り合いましたが、結果的には無事に次の日帰路に着くことができました。私はその時思ったのです。現場で子供たちと大変さを共有しながらも生き抜くことを考えたかったと・・・。
津波の被害で大変なところはたくさんありましたが、外からのニュースがタイムリーに入らないディズニーランド内では、おそらく生徒も先生もパニックだったに違いありません。
私は教育委員会という立場で外から指示を出しただけ。「私はこれで教師なのか」と深く考えさせられました。もちろん立場が違うと言えばそれまでです。与えられた立場で最善を尽くすことが求められていることも十分理解しています。
それでも、教師とは何なのかを考えざるを得ない私の心境でした。

教えるということ

これから教員になる皆さんに、お伝えしたいこと、それは教師の魅力についてです。教師とは教えることが生業です。では、教えるとはどういうことなのでしょうか。私なりにつかんだ結論があります。2つのエピソードをお話ししました。まだまだ経験談は底をつきません。お話ししたいことは山ほどあります。教師を志す皆さんにぜひ先生になってもらいたいのです。
これから管理職を目指す方、教育委員会指導主事等を目指す方も初心を思い出せば教えるということを追求されてきた方でしょう。管理職になったからこそ次世代の教育者を育成するのに必要な資質とは何かを考えてまいりましょう。
各種採用選考試験における論文対策と面接対策の極意をお伝えします。はっきり言っておきます!合格するにはコツがあるのです。このコツをつかんで臨むか臨まないかでは雲泥の差があるのです。

プロの教師とは

一般的にプロになるには一万時間かかると言われます。教師という職業を考えたとき年間授業日数は概ね200日ですから、一日8時間働いて1年間で1600時間となります。つまり約6年ちょっと働いて一万時間に到達するというわけです。東京都では異動の上限年数が6年ですからこれも頷けます。初任者の方ならば2校目に行って初めてプロの教師と呼ばれるのでしょう。
しかしただ単に時間をこなせばプロになれるというわけでもありません。職人であれば師匠や親方について真剣に学び認められなければプロとは言えないかもしれません。
では、プロの教師とはどのような人なのでしょうか。

・授業が上手でわかりやすい
・いろいろな問題を考え適切に出題してくれる
・困ったときにはすぐに対応してくれる
・勉強以外にも悩みなどの相談にのってくれる

これらは先生としてとても重要なことだろうと思います。でもこれはAIにもできるのです。
プロの教師とは、先生が教えたいことを子供が学びたいことに転化できる力の持ち主を言うのだと思います。これからはこの力もAIは身につけていくことでしょう。しかし人間の教師だからこそ、人の心に寄り添って「学びたい」という気持ちをくすぐることのできるプロ教師、こういう教師になってもらいたいと願っています。

論文対策

論文には型があります。この型は基本です。まず型を知ることが重要です。そして次に、序論で読み手をひきつけなければ、その先を読んでもらえないのだと気づく必要があります。
ではひきつける文章とはどのようなものか。絶対条件として、誤字脱字はNG。さらには国語力・文章力が求められます。字が丁寧であることも重要ですね。東京都の教員採用試験を始め、多くは直筆で書きます。それまでPCで論文作成をしていた人はいざ直筆で書くとこんなに違うのかと気づきます。気づいたときには遅いのです。
本論は誰もが書いてあることは読み手も飽きています。かといって奇をてらった文章は「本当にできるのか」と疑われます。内容構成が空論ではなく実践に即していることが重要です。
そして最後は、教師としてどうしていきたいかの自分の考えをしっかりと書くことです。最後の5行程度は、どんなテーマでも最後はこれを書くという決めセリフを考えておきましょう。
管理職選考試験はかつては会場に集まりその場で4000字程度を書き上げました。現在はPCを使って上司などに見てもらって仕上げているのが現状です。そこに落とし穴があるのです。
つまり本当に合格する論文添削をしてもらっているのかということです。管理職に求められている論文とはどういうものかをお伝えします。


面接対策

面接では何を見るのか。。それを知っておくことが重要です。
昨今では、知識を問うよりも知恵を問う設問が多いのです。つまりどんなに知識があってもそれを使いこなせなければ意味がないというわけです。コンテンツベースではなくコンピテンシーベースを見るのです。
もちろん、言うまでもありませんが知識がなければ知恵も働きません。最低限の知識は必要です。そのうえで知恵を働かせるには経験がものを言います。大学生の方ならば、教育実習だけでなく、支援員や補助員、あるいは子供会などの実践現場で経験を積んでください。難しいという方は、そういう友達とたくさん教育談義をしましょう。
管理職を目指す方ならば、自分が校長なら、自分が指導主事ならと考えながら過ごせとはよく言われます。でもそれはあくまで想定でしかないのです。ならばどうすればいいのか、お伝えします。

そして重要なことは、面接練習を面接官の経験がある方にやってもらうことです。私は新規採用教員選考を始め、管理職選考等の面接官を10年以上勤めてまいりました。選考対象者は、新規採用教員選考希望者、主任教諭選考希望者、主幹教諭選考希望者、指導主事選考希望者、教育管理職選考希望者などです。それぞれに求められるものが違います。
ただ一つ共通して求められる力があります。
学校現場や教育委員会に求められる人材として必要な資質の一つは「レジリエンス」が高いか低いかです。この力は、これからの時代必須です。このレジリエンスについては私の立ち上げた「KIS勉強会」で詳しくお話をしています。ブログをご覧ください。